~つぶつぶScientiaへようこそ!~

イチゴアイスの中に入っている小さな苺のつぶ、海辺で手のひらに残った砂つぶ、乾いた地面に落ちた最初の雨つぶ…小さいことだけど、ちょっと人生が楽しくなったり豊かになる。そんなつぶつぶを探しに行こう。

2019年3月24日日曜日

【報告】科学実験ショー「モシモさんとナンデさん」

科学実験ショー@トモイクフェスティバル2019
「モシモさんとナンデさん」

2019年3月24日(日)開催

前日のみぞれ混じりの寒さが嘘のような快晴の空の下、科学実験ショー「モシモさんとナンデさん」が行われました。3回公演で観客は約80名。すごいではありませんか!
快晴の空と逗子文化プラザ市民交流センター
昨年と同様、行われたのは空気を知るとーってもベタな実験ショーです。ベタなのに、各回とも大変盛り上がってしまいました・・・。よいのでしょうか・・・。
しかも、実験がうまくいかないその度に「実験に失敗はつきものである!」と開き直る出演者に対して、暖かく見守ってくださりなんと申し上げてよいのやら・・・。

開演を待つ人々
今回の「もしも・・・だったら」「なんで・・・なのか」という問いかけは、実はとても難しいものばかり。それにも関わらず、説明を真剣に聞いてくれたり、考えを大きな声で述べてくれたり、真っ直ぐなまなざしで手を挙げてくれたり、「実験ショーのお姉さん」と呼んでくれたり、空気砲のカウントダウンをしてくれたり、キャーこわーいムリーと言ってくれたり、ショーを盛り上げてくれました。
ううう、ありがとう!
これからも、ぜひ正しい「モシモさんとナンデさん」として、科学に興味を持ってくれたまえ!よ!


最後になりますが、ご来場くださった皆様、また、ショーの開催にご協力・ご支援下さったすべての皆様に感謝申し上げます。
どうもありがとうございました!
空気圧の説明に使った板。空気は私たちをいつも押している。下からも押しているのだ~。

終了後の様子。楽しかった~。


【おまけ】
~カガクの粒の中の人のキモチ~
 今回は、何名かの方から、小学校や子供会などで公演をしてもらえないかとお声がけを頂きました。長くカガクの粒の活動をご覧になって来た方にはお分かりかと思いますが、まさかそのようなお誘いを頂けるとはと非常に驚き、また非常に嬉しく思っております。しかし、残念ながら現在、カガクの粒では、出張授業は行っておりません。
 お誘いの際にお答えしたことなのですが、カガクの粒の中の人の思いとしてもう一度お伝えしたいと思います。

 ぜひご自身で実験ショーを行ったり、サイエンスワークショップにチャレンジしてみてください。

 今回行った実験は次の通り。
1)浮かぶ風船(コアンダ効果を利用する)
2)空気砲(押し出された空気の動き)
3)逆さコップ(大気圧の実験)
4)三角フラスコの中に水風船を入れる(温度と気体の体積の関係)

 これらはすべて、小中学校の理科のトピックでもあり、数十年前から実験ショーの定番ネタです。現代では、原理から材料、やり方まで、様々なウェブサイトや動画サイトで調べることができます。材料も特別なものを用意しなくてもできるように、たくさんの方が工夫しています。それをどんどん活用しましょう。サイトを見て、ご自分で工夫してみてもよいでしょう。子供たちと、大人同士で、地域で、もちろん一人でも、実際にご自分の手を動かして行うことは、実験ショーを受け身で見るよりも、場合によっては沢山のことを知ることができるのではないかと思うのです。一人で不安な時、声をかけてみるとよいでしょう。面白がってくれる人は案外たくさんいるものです。
実験ショーの舞台裏大公開。
演じる順番に左から機材を並べています。
面白がってもらうためには、事前のトークの練習も大切です。
また、公共機関や科学館を積極的に利用しましょう。多くの機関は、大変優れたコンテンツを提供しています。相談すれば的確なアドバイスをくれるでしょう。餅は餅屋に、と言いますが、プロの知見や経験の深さ広さは、一般人は及ばないものです。インターネットでは信頼性に欠けるコンテンツもある中で、科学館が提供するコンテンツやアドバイスに対しては、そのような不安を抱く必要はありません。
 こんな風にして、皆さんご自身の手の届く範囲で、皆さんのお近くで、科学の話が繋がって、そして面白がって楽しんでくれる方が増えるのがよいなあと、中の人は思っております。


(おわり)


2018年3月31日土曜日

【報告】科学実験ショー「はたらく空気」

科学実験ショー@トモイクフェスティバル2018
「はたらく空気」

2018年3月25日(日)開催

子供たちが春休みに入ったばかりの週末、神奈川県は逗子市で、様々な出展者が集まる市民交流イベント「トモイクフェスティバル」が行われました。カガクの粒は、科学実験ショーで参加です。普段目に見えない空気が「はたらく」様子、どんな様子かな?

空気は風船を膨らませます。
勢いのある空気は、膨らんだものを浮かせませす。

いつもより余計に浮かせます。
おお・・・これが噂の空気砲か・・・(ザワザワ)
目には見えなくても少し硬いもの(紙コップのタワー)
が倒れたぞ・・・(ザワザワ)

おおおおおおお・・・
煙で見えるようにしたら、こうなるのか!
煙だ~っ!!ウエーイ!!(お約束)

グラスの中のお水を下から支える空気の実験。
逆さまのグラスの蓋を支えている力は
どのくらいつおいでしょーか!?
キャー、お水こぼれそう!どきどきするー!
空気は普通は目に見えないけど、
空の雲を見ると地球上の空気が
どんなふうに動いているか見えるんですよ。
空気の動きをコンピュータで予想する研究をしている人もいます。
(写真パネルは昨年の『雲のおはなし』で飾ったものの一部)

科学館を訪れたことのある方、理科や科学の話が好きな方には毎度お馴染みの実験ばかりですが、ライブで見るとかなーり面白いものです。お天気にも恵まれて、来場者数は70名近く。驚きあり、ハラハラドキドキあり、歓声や真剣なまなざしあり、と大変大変盛り上がりました。楽しかったですね!

今回のショーの内容は、神奈川県立青少年センター科学支援課にて行われた「おもしろ実験・科学工作指導者セミナー」にて教授していただいたものです。このセミナーでは、実験ショーのやり方や機材の使い方指導のほか、事故の訴訟例の講義もあり、科学の面白さを伝えたいけれどどこから手を付けたらいいかわからないという一般の方を応援してくれます。

2017年度のカガクの粒のイベントは、この実験ショーのみでしたが、開催にあたり、沢山の方々にご協力・応援頂きました。大変お世話になりありがとうございました。また、なにか楽しいことができるとよいなあと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

(おわり)

2017年4月1日土曜日

【報告】Sweet Science 雲のおはなし

Sweet Science vol.8 『雲のおはなし』
2017年3月25日(土) @黒門カフェ 渚小屋
ゲスト:荒木健太郎さん(気象庁 気象研究所 予報研究部研究官/雲研究者

 水滴ではなく氷晶をたたえた雲が空にある時、大気光学的に面白い現象を見ることができます。3月25日(土)逗子海岸上空には巻層雲が広がっていました。太陽の周りには日暈(ひがさ)が。

日暈は「ハロ」と呼ばれています。こちらの写真は太陽を中心に視半径22度の円周に現れる内暈。巻層雲があるときには必ず出現します。巻層雲は氷晶による雲。大気中にバラバラな向きで浮かんでいる六角柱の氷晶に光が当たって二つの面で屈折すると、人間の目からは、太陽の周りに光の輪があるように見えるのです。

 第8回目となるSweet Scienceシリーズは、そんな大気現象の下、雲愛高い研究者、荒木健太郎さんをお招きして開催されました。第1部は初心者向け「雲愛を深めるためのサイエンス」、第2部は中上級者向「南岸低気圧による首都圏の大雪研究」と二部構成。雲の写真に囲まれてサイエンスカフェをやりたい、という荒木さんのご要望にお応えして、雲の写真100余枚を展示。この日のために「雲っぽいスイーツ」も用意され、会場の渚小屋はその日限りのまさに雲空間となったのです。


命名、アンビルソフト!「アンビル」とは「かなとこ」のこと。積乱雲が発達して対流圏の一番上にたどり着いている証拠の形です。積乱雲は対流圏を超えて上には発達できないため横に広がり、まるで「かなとこ」のような形になるのです。荒木流に言えば「限界を感じちゃってる雲」

「雲は好きですか」という問いかけから第1部は始まりました。「優しい雲」「調子にのっちゃってる雲」「スタイリッシュな雲」など、まるで人物紹介のように様々な雲を紹介する荒木さん。こうした雲と仲良くなるには雲のサイエンス(科学知識)が必要なのだとおっしゃいます。科学の知識があれば、①雲に自分から会いに行けて(狙って現象に出会える・雲写真を撮れる)②雲の声が聞けるようになる(災害に備えることができる)というのです。これが充実した「雲ライフ」!


 関東地方に大雪を降らせた南岸低気圧のメカニズムを解説した第2部はぐっと専門的になりました。関東地方が大雪になるメカニズムは、数値実験(シミュレーション)や観測精度や頻度の向上、また雲物理の研究によって沢山の事柄が明らかになりました。ところが降雪の予測はまだまだ大変難しい。台風よりも予測が難しいとか。
 21世紀になった現在も、関東地方に大雪を降らせる雲の中で何が起きているのかを直接観察するには、飛行機を雲の中に飛ばすか、センサーを搭載した風船を飛ばす(ゾンデ観測)しかないのです。そこで荒木さんが着目したのが「天から送られた手紙」つまり雪の結晶というわけです。(手紙の送り先はこちら→関東雪結晶
荒木さんが「天からの手紙(雪結晶)」収集を2016年11月23日から呼び掛けを初めて現在まで集まった画像はなんと5200枚以上。超高密度なデータ収集は、気象分野初。これが関東雪結晶のビッグデータ!
「雪は天から送られた手紙である」というのは、石川県加賀市出身の中谷宇吉郎が残した言葉です。雪結晶の美しさに魅せられ、雪の結晶の研究に生涯を捧げました。その結果、雪の結晶ができる条件は水蒸気の量と上空の気温の違いによることをあきらかにし、1936年、低温実験室で人工的に雪結晶を作ることに世界で初めて成功しました。このスライドにある文字は中谷博士直筆で、加賀市の中谷宇吉郎雪の科学館にて掛け軸として展示されています。

 「関東雪結晶」というテーマでデータ(画像)を収集するのは、第1部から通じる「雲ライフの充実」にほかなりません。言い換えれば、わたしたちの気象力の向上を目指しましょうということ。気象力が向上することこそ防災・減災を支える大きな力になるのです。
 防災・減災と言うと硬く深刻に構えてしまいますが、まずは雲や気象現象を眺めること、それを楽しむことがとても大事なのですね。
 ※充実した雲ライフの実践については当ブログのこちらのページもご覧ください。

雪結晶の分類表を活用しましょう。
イベント終了後、荒木さんがこんなことをおっしゃいました。聴講するだけ・読むだけでなく、知ったことを自分で言葉にしたり他人に伝達して初めて知識が身につくのだと。現象を楽しんで知識をインプットしたら、自分の言葉で構わないからアウトプットして、気象力を向上させて雲ライフをさらに充実させる。この話が最後にずしっと心に残り、大変勇気づけられた主催者でした。荒木さん、ありがとう!
沢山の質疑応答もあって大変盛り上がった「雲のおはなし」。気が付くと太陽が水平線に近づく時間でした。渚小屋のテラスから、荒木さんと眺めた雲。
本日のもんだい。お帰りの際は感想をこちらへ。正解は③でした。
「たまたま見つけたイベントでしたが、参加して正解でした。大変おもしろいお話でした。これから雲を見る目が変わりそうです。少し勉強してみたいと思います。」というご感想も。

 最後になりましたが、ご来場下さった皆様、ほんとうにほんとうにありがとうございました。皆さんがいらっしゃらなければ、実現しなかったイベントです。キャンセル待ちになってしまった皆様、ごめんなさい。
 また、イベント催行・運営にあたり、チラシの貼付けを手伝ってくださった方々、写真を提供してくださった方々、渚小屋、㈱東芝をはじめご支援・ご協力下さったすべての皆様に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

(おわり)

付録:充実した雲ライフの実践

「荒木健太郎氏上に発達した『充実した雲ライフ』の実践」

 2017年3月25日(土)に行われたSweet Science vol.8『雲のおはなし』において、講師・荒木健太郎氏上でいくつかの「充実した雲ライフの実践」が観察された。同様の生態に出会う確率は地域差および時間差があるが、これらの模倣と実践が読者各自の雲ライフ充実化に寄与するものと判断し、以下、イベント当日に観察された荒木氏の充実した雲ライフ実践の一端を紹介するものである。


◆気象情報提供の優先
 会場設営直後の講師からの着信履歴に対し、道に迷ったのだろうか、電車が遅延?いや、まさか寝坊か…という不安を抱えて折り返した主催者に対して、「まもなく会場です」や「逗子に着きました」というよりもまず先に「ハロ(日暈)出てます。それだけです。」と伝える。気づいた頭上の大気現象を周囲に優先的に情報提供し見逃させない。
ハロ出てます。それだけです。

◆湿潤断熱変化による雲熱放出
 「今日はビールが飲めるそうなので」と冒頭よりビールを摂取開始するも、周囲の雲愛圧に影響され、飽和状態に達することなく端的で流暢な雲トークにより雲熱を放出する。(雲愛膨張は各構成員により異なるので摂取はビールでなくともよい。)なお飲まないのはなぜかと何度も問いかけ、超絶飲みたいが飲んだら話を聞き逃すという情報の過飽和を恐れる参加者を惑わせることがあるので注意。
湿潤断熱膨張ツール(ソフトドリンク)

◆雲愛声だし確認およびニヤ確認
 当日の天気を説明する際に「巻層雲が出ています」などと言った後、立ち上がってブラインドから空の様子を観察し「出てる…」もしくは「出てます」と声に出して確認する。
 また興味深い大気現象、例えば副虹について語るときは「(主虹と副虹の)色の並びが逆なんですね(ニヤッ)」と微笑んで重要なポイントであることを周囲に伝える。観測事実の検証には必要な基礎行動である。
初学者向けニヤ確認補助ツール

◆雲好きストーキングツール活用
トークの最中、質疑応答において雲を追いかけるためのサイト(雲好きストーキングツール)を活用する。また雪結晶分類表を携帯することも効果的である。今見えている雲や結晶と、以下のサイトの画像などを比較することにより、気象力が飛躍的に向上することは関係機関により立証されている。
・高解像度降水ナウキャスト(レーダーによる現在の雲の様子・目先どうなるかを知るツール)→こちら
・ひまわり8号リアルタイムWeb(衛星からの雲の様子)→こちら
・GPV気象予報(Grid Point Value格子点値の略。天気予報の元となる資料。一般人も数値実験を体験できる)→こちら
・雪結晶分類表(フリガナ付き by荒木氏)→こちら


◆大気現象萌え=備えという認識
 「地震雲は根拠がないといいますが実際のところはどうなのでしょうか」という参加者の問いに対し、「ないです」「雲好きじゃないですね、地震雲好きです」と明確に応答する。
 雲を日々見ている雲好きであれば、一見レアに見える現象もありふれた大気現象や雲であることがわかるものである。大気現象に興奮するのはあくまで観察の一環であり、地震発生の根拠となるものではない。地震をはじめとして災害はいつでも起こりうるので備えることが大切である。
印象的な雲たちだがそれぞれ科学的に説明できる。

◆撮影技術向上努力
 雲に関係する風景があれば、喜んでスマートフォンで写真に撮影する。将来出会うレアな大気現象を見逃さないためにこの基礎技術研鑽は不可欠である。さらに、関東での降雪時に雪結晶データ収集に貢献するために、マクロレンズ装着スマホでの撮影訓練を随時積む必要がある。随時とは、会場到着後「ビニール袋ください」と言って海岸へ行き、砂を採集して黙々と撮影する、などである。雪結晶が観察されない季節には、霜、露、ちりめんモンスターの撮影も技術向上に効果的である。
撮っているのを撮る(参加者による撮影技術向上努力)
マクロレンズ撮影技術向上努力
露活は撮影の美的センスも問われる
ちっさければなんでも撮ってみる
撮ってみる

以上、荒木氏の充実した雲ライフの実践の一端を紹介した。本記事は、読者が部分的にでも模倣しそれぞれの雲ライフ充実化促進を願って、カガクの粒マシタの独断と偏見で書かれたものである。当日の報告と合わせて読むことが望ましい。
 ご意見ご感想はkagakunotsubu@gmail.com までお寄せください。

【参考文献】
『雲の中では何が起こっているのか』(2014年 ベレ出版)

(おわり~)

2017年2月5日日曜日

イベントのご案内 2017年3月

本イベントは終了いたしました。(報告は→こちらのページ)ご来場くださった皆様誠にありがとうございました!

Sweet Science vol.8 @渚小屋
雲のおはなし
雲愛を深めるためのサイエンスと南岸低気圧による首都圏の大雪研究

開催のご案内
(申込受付は2017年3月1日(水)から)

ぽわぽわの綿雲、重たそうな雨雲、高い空の筋雲――などなど、快晴の青い空も良いけれど、様々な雲との出会いは楽しいものです。一方で、雲は大雨や大雪などの災害をもたらすこともあります。2014年の関東大雪による被害が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
ちなみにこちらは2014年2月8日の逗子海岸の様子。
予定されていたカガクの粒のイベントも延期に。
今回は、そんな雲の姿を見つめ続けている雲研究者の荒木健太郎さんにお話を伺います。「雲は初心者!」という方と、「気象の基本はOK」という方それぞれにプログラムをご用意しました。
学びたい方応援、特別企画です。飲み物を片手に目の前に広がる逗子海岸の風景もご堪能ください。詳細は以下の通りです。

【日時】
2017年3月25日(土)
①14:00~ 初心者向
『雲愛を深めるためのサイエンス』
②15:30~ 中上級者向
『南岸低気圧による首都圏の大雪研究』
②15:30~の回は、やや専門的な内容になります。荒木さんの著書『雲の中では何が起こっているのか』の他、南岸低気圧についてまとまっているこちらのページもご参照ください。

【対象】
中学生以上(各回先着15名)

【参加費】
各回(ワンドリンク付き)
成人800円 大学院生以下600円
※連続参加の場合は、成人1600円 大学院生以下1200円
※追加ドリンク、スイーツおよびアルコールは、当日キャッシュオン形式で販売予定です。

【会場】
黒門カフェ渚小屋 
(神奈川県逗子市新宿1-4-7 黒門駐車場内)
JR横須賀線・逗子駅または京浜急行・新逗子駅より 徒歩約15分  駐車場(300円/h)有

【講師】
荒木健太郎さん
気象庁 気象研究所 予報研究部 研究官/雲研究者
1984年生まれ、茨城県出身
高校卒業後、慶応義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校に入学。2008年に卒業し、地方気象台で予報・観測業務に従事した後、現職に至る。専門は雲科学・メソ気象学。防災や減災に貢献することを目指して、豪雨・豪雪・竜巻などの激しい大気現象をもたらす雲の仕組み、雲の物理学の研究に取り組んでいる。SNSを活用して一般人への情報発信や、関東で降った雪の結晶の写真収集呼びかけなど、気象におけるシチズンサイエンスの担い手としても注目を集めている。
著書「雲の中では何が起こっているのか」(ベレ出版)


【お申込み方法】※申込受付は3月1日(水)からです。
1~5をご記入の上、メールでお申込み下さい。
1.お名前
2.参加人数(学年)
3.参加希望回
4.連絡先電話番号
5.講師に聞いてみたいこと ・いま疑問に思うこと
アドレス kagakunotsubu@gmail.com

【お問合せ】
上記メールまたは、☎ 090-5321-5660 (マシタ)へどうぞ。
カガクの粒のTwitter(@kagakunotsubu) および Facebookページ に最新情報を掲載いたします。
渚小屋は逗子海岸目の前
皆様のお申し込みを心よりお待ちしております!
(以上)

2016年12月21日水曜日

付録:『霧箱をつくろう!』の解説パネルなど

本記事は、Sweet Scienceぷち@ひさぎ『霧箱をつくろう!』(2016年12月10日(土)開催。当日の様子はコチラ)の解説に使用したパネルをまとめたものです。説明した内容、および課題点、参考サイトや書籍なども記載しました。
スライドではなく、なぜパネルなどと表現したかというと、えーっと、筆者がパワーポイント等のプレゼンソフトを使えないからです。実際には印刷したものを画用紙に貼り付けて紙芝居形式でトークしました。ご意見・ご感想がございましたら、kagakunotsubu@gmail.comまでご一報いただければ幸いです。

【パネル】
1.工作と観察の前に
1-1 霧箱の定義
1-2 霧箱を考えた人物
1-3 霧とはなんだろう
1-4 物質のすがた

1-5 霧ができるしくみ
①拡散型霧箱の中の様子 白いシールはエタノールの分子。気体だと見えない。

②下層から冷えてくる様子

③冷えると気体が液体になりたがる(過飽和)状態をイメージした
④そこへ放射線が飛び込む(緑色のシール)

⑤放射線が進むと荷電粒子ができその周りに霧ができる

1-6 工作に際しての注意事項

エタノールについて

ドライアイスについて

懐中電灯について

1-7 工作開始
2.観察を終えて(飛跡の種類)
2-1 α線

2-2 β線


2-3 μ粒子

【解説など】(※は筆者の感想・課題)

1.工作と観察の前に(解説所要時間15分)
1-1 霧箱の定義
 霧箱:大地や空気、宇宙からの放射線の飛跡を見る装置

1-2 霧箱を考えた人物
・人物の紹介: チャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソンは、霧箱の仕組みを最初に考案したスコットランドの物理学者。山の上で美しい雲に感動したことがきっかけで霧箱を考案、など。
・生年の1864年についてのエピソード: 日本の様子(明治元年)、メンデレーエフによる周期表の発表(1869年3月)を紹介。周期表を各自に配布。
・補足説明として: ウィルソンの霧箱は拡散型霧箱ではない
※これから作る拡散型霧箱とウィルソンの関係の説明が大変曖昧になってしまった。

1-3 霧とはなんだろう
・霧という自然現象を参加児童が知っているかを確認
・霧の例を挙げる(浴槽の湯気など)
※霧と言われてどんなものか説明できる子供もいれば、体験したことを霧だと理解していない場合もあると考え、装置の仕組みの説明の前に確認と説明を行った。

1-4 物質のすがた
・物質の三相を水で解説。
・霧はこのなかのどれなのかを参加児童に問いかけ
※やや唐突(強引)な説明になってしまった。1-3の前に1-4を説明すべきだったかもしれない。霧箱の仕組みのうち、重要な過飽和状態を説明する上で、必須知識と考えた。三相の図は、もう少し厳密に描くべきだった。また、物質の状態変化は小学理科から高校化学および物理基礎まで取り上げられる単元だが、大変奥が深く複雑で、一言で簡単には説明できないことを痛感した。

1-5 霧ができるしくみ
・霧箱の中で、どんなことが起きて、どのようにして飛跡が見えるかを解説。
※気体が冷えて、放射線が飛び込むと霧が見えるという様子は伝えられたと思うが、荷電粒子やイオンについては、「中学や高校で習います」と言及するだけに留めた。また、放射線によって電離された荷電粒子の周りに霧ができる、という状態にこだわりすぎて、かえってわかりにくいことになってしまったかもしれない。最後に図③を逆さまにして「お風呂の湯気の状態」を補足説明した。

1-6 工作に際しての注意事項
・エタノールの臭いについては、気になるお子さんにはマスクを配布、また窓を開けて換気しながら作業を行った。
・ドライアイス用に軍手持参お願いした。

1-7 工作開始
・工作は、机上に見本を置いて、それを見ながら作ってもらった。ドライアイスの取り扱いは、大人が中心に行った。

2.観察を終えて(飛跡の種類)
実際に観察できた飛跡の姿を問いかけ。α線は全員が線源なしで観察できた。
2-1 α線
2-2 β線
2-3 μ粒子
※上記3つのパネルは、会場前方に立てかけて展示、特に詳しい解説は行わなかった。飛跡の図は、イメージとして作成した。飛跡を見たことがない参加者にとって、どれが飛跡なのかわからないかもしれないと考えたため。遮蔽については、ガイガーカウンターの説明で言及されたので、記載しておいてよかった。


【参考にしたウェブサイト・PDFファイル・書籍等】

◎拡散型霧箱について
ウェブサイト 『うみほしの霧箱研究室』
  拡散型霧箱を家庭で作ることをここまで徹底的に試した方はいらっしゃらないのではないかと。素晴らしいです。

  霧箱の原理の解説が端的。原子核乾板の技術やミューオンラジオグラフィの話まで、見えないものを見えるようにする技術がすごい。

  国立科学博物館、日本科学未来館など、日本の大きな科学館にある霧箱を作っている会社のHP。霧箱の中で見える飛跡の種類の解説はとてもわかりやすいです。

  宇宙というキーワードを入口にして霧箱を紹介しています。小学校高学年対象の指導教材として大変実用的です。

PDFファイル 「実験教室B 放射線を見る道具を作る」(京都大学原子炉実験所 アトムサイエンスフェア2012年HPより)
  解説の文章が独特で見事だなあと思いました。中高生以上向け。


◎霧箱の歴史について
ウェブサイト C.T.R Wilson - Biography (ノーベル賞財団公式HP)
  英語。ウィルソン自身のエピソードや、当時の物理学者との関係が短くまとめられています。

ウェブサイト The Cloud Chamber (Cambridge Physics ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所)
  英語。霧箱を歴史から原理まで、実際に動画を動かしながら遊んで理解できる仕様が素晴らしいです。英語がわからなくても大丈夫。親子で一度訪れてみてください。

ウェブサイト Bubble Chambers Website
  英語です。霧箱ではありませんが、泡箱についてのあれやこれやがまとまっています。写真がとにかく大変美しいです。

書籍 エミリオ・セグレ(久保亮五・矢崎裕二訳)『X線からクォークまで』 みすず書房 1982年
  20世紀の物理学の熱気あふれる時代がたくさんのエピソードとともにまとめられています。霧箱という言葉は何度も出てきます。現在絶版。


◎物質の状態変化について
書籍 『理科の世界』1年~3年 大日本図書
  中学理科の教科書です。我が子のものがたまたまこれだっただけで、他の教科書でもよいかもしれません。中学の教科書は、専門知識のない一般の成人が読むのに言葉遣いがちょうどいいと思います。一家に一冊、ぜひ。

書籍 小玉信武『高校化学再入門』 化学同人2005年
  これを読んでは、小中学校の理科は実はすごく難しい話だったんだーと驚いて不勉強を反省するのでした。


◎放射線について
書籍 田崎晴明『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』朝日出版社 2012年
  福島第一原発事故の直後にまず知っておきたい大事なことから、高校程度の知識がある方まで対応したすごい一冊です。文章が大変柔らかくて読みやすく、一般人でも線量などをどう計算すればいいか解説されています。

書籍 菊池誠・小峰公子・おかざき真里『いちから聞きたい放射線のほんとう』筑摩書房 2014年
  対話形式で書かれています。もしも大人が子供に解説しようとしたときに、一番実用的な言葉遣いかと思います。今回の霧箱の中で見える放射線の解説は、この本を参考にしました。

書籍 鳥居寛之・小豆川勝見・渡辺雄一郎著 中川恵一執筆協力『放射線を科学的に理解する』丸善出版 2012年
  放射線の物理の概観が一冊におさまっているのですが、初めて読むには少しハードルが高いかもしれません。

◎元素・周期表ほか
書籍 左巻健男・田中陵二『よくわかる元素図鑑』 PHP研究所 2012年
  元素について、単結晶の姿と鉱物や日用品の姿の両方が掲載されているのがすごいです。解説も読み物として面白いです。

書籍 Eric R. Scerri (渡辺正訳)『周期表』 (サイエンス・パレット)丸善出版 2013年
  周期表そのものへの素直な感動を覚える一冊。ニホニウム命名を祝って、周期表の歴史を紐解くのもよいかと。

書籍 『ケミストを魅了した元素と周期表』(別冊 化学)化学同人編集部 2013年
  雑誌ですが、えーっと、ニホニウム命名記念。

書籍 松原聰監修 『鉱物の不思議がわかる本』(図解サイエンス)成美堂出版 2006年
  鉱物は実に多様で知ったかぶりしようとしてもなかなかできない、大変複雑なもののようです。そのなかでも、子供向けの鉱物の本は、一般人でも、その魅力や不思議を知ることができるのではと思います。


◎原子核や核物理について
書籍 多田将『すごい実験』イースト・プレス 2011年
  放射線について調べていくうちに、原子核ってなんだろうともっと小さい世界が気になってしまった方のために。加速器からアニメの話まで。素粒子は実際には大変難しい話なのなのですが、すげーと驚く話満載で、かなり笑えます。楽しいです。

書籍 多田将『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』 (イースト新書Q)イースト・プレス2015年
  いわゆるミリオタ(ミリタリーオタク)本ですが、核とは何かを考えるのに優れた入門書なのではと思います。


◎放射線についての不安やリスクについて
書籍 早野龍五・糸井重里 『知ろうとすること。』新潮文庫 2014年
  放射線について不安に思う一般人が、放射線への向き合うときに、一番入りやすい一冊なのではと思います。

書籍 菊池誠「放射能って大丈夫なの?」、『子どもを守るために知っておきたいこと』メタモル出版 2016年
  デマが気になる方へ。本の中では番外編で巻末にありますが、不安に思う方にすごく配慮した言葉遣いなので、ここを最初に読んでから各項目を読むとよいのではと思います。

書籍 中西準子『原発事故と放射線のリスク学』 日本評論社 2014年
  リスクについてもっと専門的に知りたい方へ。