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2014年4月5日土曜日

「放射線」を知る旅 5日目

5日目 知っておきたいこと

「2年8か月、何やってたんだろね。」
そういって終わった4日目の旅は、丸3年たった2014年3月、ようやく「次の日」を迎えることとなりました。この2冊に出会ったわけです。

『いちから聞きたい放射線のほんとう』菊池誠×小峰公子(2014年3月 筑摩書房 ISBN 978-4-480-86079-8)
『原発事故と放射線のリスク学』中西準子(2014年3月 日本評論社 ISBN 978-4-535-58650-5) 

というわけで、旅の感想(読書感想文)を少し。といっても例にもれず長いです。(なお、これらの本についての書評は、立派な方々が多数書いておられますので、検索してそちらもお読みください。)

1)気楽さがあるから不思議
 『いちから聞きたい…』は、菊池誠さんと小峰公子さんの対話形式で文章が進められています。おかざき真里さんのイラストや漫画もあって、今まで出会った放射線関連の本とはちょっとわけが違います。白地にオレンジの文字の表紙?はあ?ほんとうに放射線の本なのお?という感じです。
 対話形式というのは読みやすいけれど、ややもすると実は読みにくいものです。話の全体がぼんやりして、「で、結局何がいいたいわけ~?」ということになりかねない(反省も込めて)。
 でも、この本はそのあたりが絶妙にうまいのだな。言葉が子供(幼児・小学生低学年)向けじゃないので大人には多分に読みやすい、でも中学生でも読めそう。チャプターのタイトルのすっきり感、大事なところは太字で書いてあったり、最後にまとめをしてみたり。どこから読んでもよいし、気になるところから読み始めて、もどったり繰り返し読んだりすればいい、そう思いますし、そうしました。
 きちんと語っているのに、まるで雑誌のような気楽さ。これは不思議。
 だって、少なくとも私の中で、気楽に語れるテーマじゃなかったぞー。放射線って。
 不思議!


2)痒いところに手が届く
 『いちから聞きたい…』で私が一番感動したのは、半減期の説明が本当にわかりやすかったこと。この説明は、この世界の人には常套句なのかもしれないけど、初めて聞きました。
 それから、等価線量、実効線量、空間線量率、預託実効線量についてそれぞれ説明してくれていること。前回の「旅」で、数値がわかればもっとわかりやすくなるんじゃないかと思った所が説明されている。
 「タブレットとスマホとガラケーとパソコン。知ってる人には全部違うけれど、じゃあ、うちのばあちゃんに説明してみ?無理無理・・・え?ちょっと!見事に説明してはるで!」
 そんな感じです。(え?)
 そしてリスクについても触れている。これは、アルファ線がベータ線がどうのこうのより(ごめんなさい)、もしかしたらフツーの人が一番知りたいところなのかもなあ。一番「答え」が欲しいところなのかもなあ。そうだとしたら、本当に痒いところに手が届いてる。
 この本についてあえて求めるとするならば、索引があったらよかったなあって思います。

3)リスクということ
 『原発事故と…』は、そのリスクについてもっと専門的に書かれている本です。難しいところもありましたが、大変参考になりました。
 福島第一原子力発電所の事故を話すといつも出てくる「安全」という言葉。うん、大事なんだよね、「安全」が。
 でも、じゃあさ、この社会でまたはあなた個人にとって「安全」てなんでしょう?ゼロが安全なの?ゼロってどんな意味?この数値だから「安全」なの?その数値ってどうやって決まったの?「安全」だから「安心」なの?
 この本はそれを考えるのに必要な材料を提供してくれる一冊なのでした。この本の中で、大変難しいけどできれば知っておいたほうがいいんじゃないかと思った説明は、LNTモデルというもの。難しいよ、本当に。でもここ大事だと思う。
 中西準子さんという方は、リスクについて日本を代表する研究者なのだそうです。恥ずかしながら私は全くその名前を知らなかった。ダイオキシン問題、BSE、など様々な環境問題に対して、「リスク」という観点から真摯に取り組んでいらっしゃった方なんだそうです。原発事故のリスクについて、ものすごく具体的な考えを提示しています。それを読んで、社会と科学、政治について、議論すること、自分で判断すること等など、そんなことを考えずにはいられませんでした。
 

4)科学技術館で
 この2冊は並行して読んでいました。一冊から一冊へ行ったり来たり。わからなければ前に戻ったりもしました。なるほど!と思いながらも、実際にはあまりに問題が複雑すぎて、いくら「気楽」でもめげそうにもなりました。
 そんな折、東京の九段下の科学技術館へ行きました。
そこでは、放射線の動きを知るゲームや、子供を対象に線量計を使う実験が行われていました。子供たちは楽しそうで、必死に数値を書き取り計算していました。わあ。なんだか嬉しいな。
 え?能天気?
 そうかなあ。
 放射線について全然知らなかったから、3年たっても私みたいのがいるんじゃないのかなあ。こうやって放射線について学習する場があるって大事なことなんじゃないかなあ。

 カガクの粒が始まって丸1年。本当に何も知らずに始めて恥ずかしいことばかり。やめたほうがいいのかなあと思ったこともあったけど、科学館へ行ったり、サイエンスカフェを開いたり、本を読んだり、自分たちのできる範囲で旅を続けよう、子供たちの様子を見てそう思ってしまいました。また霧箱の実験もしたいな、そして、いつか、菊池誠さんを逗子にお呼びしたいな、そんな野望もうまれているのでした。野望すぎる!?
(おわり)


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