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2015年4月14日火曜日

【報告】Sweet Science 愛と憎しみの!?ストラテジー 昆虫と植物の共生関係のおはなし


Sweet Science vol.6 『愛と憎しみの!?ストラテジー 昆虫と植物の共生関係のおはなし』
2015年4月12日(日) @黒門カフェ 渚小屋
ゲスト:岡本朋子さん(岐阜大学 応用生物科学部)
終了いたしました!ご参加の皆様、ご来場誠にありがとうございました!

今回のゲストは、4月より岐阜大学 応用生物科学部の助教になられた岡本朋子さん(websiteはこちら)です。
昨年カガクの粒の中の人が、横浜で開催された昆虫大学というイベントに行った際に、岡本さんの30分ほどの講演を聞き、もっと長く聞きたいなあ、他の方にも聞かせたいなあと思ったのがことの始まり。
いや、「他の方」と言ってもですね、Sweet Scienceの会場は15人でぎゅうぎゅう(少なっ!)。それにですね、ここは逗子、辺鄙な街。本当に来て下さるとは思いもよりませんでした。
当日は、穏やかなお天気。海にはウィンドサーフィンを楽しむ人がたくさん見えます。こんな日はお話じゃなくて外で遊びたいですね、とおっしゃる岡本さん。岐阜からようこそお越しくださいました!
それでは、ごく簡単に、いや、自分勝手にくどくどと、当日の雰囲気をご報告いたしましょう。
ウィンド日和の逗子海岸

開場を待つ岡本さん。おお!スクリーンにはフライヤーが!!中の人感激!このフライヤー、女子はハナホソガ、男子はカンコノキをイメージしておりますです。
お話前半は、ご自分の研究のベースとなるものの紹介から始まりました。
生き物って自然界の中のどこで、いつ生きているか、どんな生物と関係しているか、どうやって生きているか(つまり生態学)、そしてそれはどうやって進化してきたか、なぜ進化してきたか(はい、これ進化学)をベースに、どのようにして生物同士がコミュニケーションをとっているか、それがどのように進化してきたかという生物間相互作用にご興味を持って研究なさっているとのこと。
ああ、なーんだ。○○学というととっても難しそうな印象ですが、研究って単純に「なんで?なんで?」っていうのがモチベーションなんだなあ、ということがよくわかります。うん、わかりやすい。そして、わくわくする。

はじまりました!
その後、様々な種類の植物の共生系について丁寧にご説明いただきました。おお~!、なんで~?など、会場からは声があがりますったらあがります。岡本さんの口からは一体いくつの植物と昆虫の名前がでてきたことでしょう。改めて生き物の多様性を痛感します。そして共生と言ってもいろいろなのですなぁ。
ひょうひょうとだがしかし、ノンストップ弾丸生き物トーク
さあていよいよご本人の研究テーマのお話へと突入です!と、その前に休憩しようそうしよう。
休憩しようそうしよう(渚小屋店主渾身の巻寿司等)
休憩しようそうしよう(ココアケーキ)
そうしましょー!(定番のイチゴロールケーキ)
後半は、チャルメルソウとキノコバエのお話を紹介してくださいました。出たてほやほや研究論文にて語られたお話。キーワードはライラックアルデヒドという匂い。
ね?気になるでしょ?気になりますよね?はい、そんなあなたは国立科学博物館のプレスリリースをどうぞ。これ、必読。→こちら(PDF) 岡本さんは「地味~」なお話とおっしゃいますが、いやいやどうして。ご自身が描いたイラストふんだんのスライドと共に展開される、よどみないお話。思わず笑ってしまうお客様。へー、はー、という驚きの声が聞こえてきます。
岡本さんのスライドはイラストががが、かわゆいのでっす
そして、ハナホソガとカンコノキのお話へ。
不思議です。お客様からもえー、へー、わーというため息混じりの声、そしてわはは、くっくっく、という笑い声。このお話は、京都大学生態学研究センター川北篤研究室のこちらのページに詳しく掲載されています。
リンク先を読むのもよいのですが、やはり顔の見える距離で聞くと確実に伝わる感動!ああ!なんという愛と憎しみのストラテジー!
最後のお話の中で出てきた「進化は一朝一夕には起きない」という言葉。これは、まるで、生き物としては人間の大大大先輩であるハナホソガたち昆虫からの言葉のように思えました。

程よくつっこみあり、笑いあり、中の人うなりまくりのいい質問、和気あいあいと自由な雰囲気。サイエンスカフェは講師とお客様と場所が作るんだなあ、としみじみする中の人でありました。しみじみ。
ああ、また今回もあっという間に終わってしまった!
岡本さん、本当にありがとうございました!そして、ご来場くださった皆様、渚小屋の村岡さん、誠にありがとうございました!またぜひ逗子に遊びにいらしてください!


書籍も数点展示しました。
みなさん、お手に取ってご覧になっていました。
お帰りの際は、もちろん、「本日のもんだい」に答えて帰りましょう。
花粉を運ぶハナホソガの口吻の形についての質問でした。さすが、全員正解!参加なさった方は、ハナホソガの雌の口吻の形を覚えましたね!
今回、小学生のお子さん連れで参加なさった方が3組。何度も何度も質問しにいく子、真剣に話を聴く子。大人だけのサイエンスカフェの雰囲気も好きだけど、子供たちが混じるとまた新たな展開になります。
終了後、岡本さんと小学生たち

そうそう、お客様からの感想もご紹介しましょう。皆さん、びっちり書いてくださって(泣)ありがとうございます。

★サイエンスカフェに初めて参加しましたが、とても面白かったです。先生の話も、雰囲気も、生物や科学の話をしに集まれる場所があるっていいですね。
★小さい頃に虫が好きだったこともあり、今回の話はとても面白かったです。また、自分の知らない話などがたくさん聴けるのも専門家ならではだなと感じました。今回の話を聴くと、少し神を信じそうになります。
★とても楽しかった。人間と昆虫と植物の関係は大切なことです。
★Nature will always find a way.
★生態系の維持には多様で豊かな相互作用が不可欠で、我々人間も同様で学ぶところが非常に多かったです。とてもおもしろかったー!
★普段考えないことにふれられて、昔にタイムスリップした気持ちになれました。話の内容はとても新鮮でした。自然ってすごいと感じました。
★むしのれきしや、生活、花との関係がよくわかってすごいためになりました。これからは生物をよくかんさつして、虫のすごさを感じたいです。
★岡本さんのお話はとっても聞きやすく、退屈することもなく、あっという間に時間が過ぎてしまった感じです。
★「ハナホソガ」という昆虫がいるのを初めて知りました。家の昆虫図鑑で調べてみようと思います。
★岡本先生は本当にいろいろ知っていてすごいわぁーと感動です。
★ハナホソガの地道な活動・・・私たちが寝ている間に花粉をこつこつとまるめてる虫がいるなんてしりませんでした。ひとつの実に二つのタマゴが産み付けられたら実をばっさり落とすというカンコノキの容赦ない制裁。どうやったらわかるのかなー、と思いました。
★アリも深いと思います。蝶と蛾の違いがまだ明確でないのは本当かな?などいろいろ興味がつきません。先生、またいらしてください。
★ハナホソガの話でメスが一生懸命ずっと受粉させていたのにとてもびっくりしました。虫と木がこんなにうまくやりとりするのは初めて知りました。(種子の栄養を)半分ずつ分けていてえらいと思った。
★昆虫はそこまで好きではなかったのでどんな話になるかと思っていました。でも、とっても楽しかったです。
★家には植物がたくさんあるので、観察してみようと思いました。
★花と昆虫の共生関係と言うとLOVE♥みたいな話になりがちですが、岡本先生の場合、丁々発止な感じで語られるので、「やっぱりそれで良いんだよなー」と思うのです。
★生まれ変わるならハナホソガのオスだ!


皆様ありがとうございました!


これまでSweet Scienceが一つ終わるときには、いつも次のSweet Scienceの準備が始まっていました。実は今回はまだ何も決まっていません。ワンシーズンに一回のつもりでやっておりましたが、この秋は一回休みです。冬もお休みするかもしれません。
美味しいお菓子を食べながら、飲みながら、まさにカフェで、でも、講義としても価値があるもので、話し手と聞き手の距離が近い、きっちりしているようでゆるい、がんがん質問してもいいし、空気を読んでもいい、人と人が科学を媒体に出会う場所。そんなコンセプトで、どんなことができるのか、少々充電しつつ考えてまいります。イベントを行う場合は当ブログの他、ツイッター、フェイスブックページでもお知らせいたします。今後ともカガクの粒をよろしくお願いいたします。
(おわり)

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